救急センターに到着したのは夜9時ちょっと前。 前回は、お願いだから車の中では死なないで!と祈りながら100キロ以上で運転したけれど、今回はすでに暗い夜道だったので、くねくね山道ではよく動物も出るし、 「焦らない、焦らない」 と自分に言い聞かせながらいつも通りの運転。 ふと、鹿が現れて、珍しく車に動じず道脇でじっとしているので、 すれ違いざまに目が合ってしまった 。逃げない鹿を見たのは初めて。鹿の落ち着いた顔つきから、 「早く行けよ」 と言われた気もするし、 「大丈夫だ、焦るな」 と言われた気もするし、なんだか良い暗示と良くない暗示で頭がいっぱいになる。ふと助手席を見れば、彼は目を閉じてぐったりしているけれど、時々急に話し出すので、 たぶん大丈夫 。 さて、到着した救急センター。コロナ禍で付添人は中に入れず待合室で待機するののみなので、これ以降は私はもう 「待つ」 しかない。重病人で今夜は入院させるのでご家族は帰っていいですよ、という場合以外は、待合室にいる家族は何も知らされない。 当然、あとどれぐらいかかるんだ?! とイライラを募らせる人はドアベルを リンリン 鳴らして、受付人に当たる。その日は、なんと朝10時半から中にいるという奥様を待つご主人が、妻が一体どういう状況で何をしているのか、全く知らされない、と待合室にいる全員に愚痴っている。最後はそのおじさんと私二人きりになって会話を交わしたが、怒りながらも病院の人に感謝をして、なんだかすごくいい人だ。夜中すぎにようやく、奥様は今夜は預かりますので、帰っていいですよと言われ、最後は笑顔で私にも挨拶をして帰っていった。 そして待合室には私一人 。 色々準備してきたつもりだったけれど、なんだか疲れてしまって読書もとぎれとぎれだし、携帯画面を見るのも疲れる。音楽かラジオを聴くのもなんだか耳障りに感じてしまい、結局目を閉じて半分寝る時間が長かった。 時々夫から携帯メッセージが届いて、今血液採取をしたとか、やっとエコーが終わった、とかの知らせが来る。 たまたま待合室に顔を出した看護師さんに、血液検査の結果はどれぐらいかかるのか訊いたら、最低2時間だと。ああ、今から2時間以上か・・・その時点で11時半。 なぜ到着してすぐに採血してくれないんだろう・・・。 しばくらくして、また一人待合室に男性が現れ、少し携帯とにらめっこしていたが
フランスにて血液型不適合の夫婦間腎臓移植手術を受ける予定です。私自身は夫のドナーとして、関連情報や経過報告を綴ります。フランスでの移植医療の情報を必要とする方の助けになれば幸いです。