医学の進歩により、手術方法もだいぶ進化している。
お腹を切ると、術後の傷が体に残り、その傷はけっこうな大きさだったりしますよね。
しかも、「切る」😱ので出血多量や合併症のリスクも大きい。
手術リスクを最小限にするため、昨今の手術は体に数か所小さな穴を開けるのみ!その穴から筒状の器具を挿入し、それぞれにカメラや遠隔操作できる各種手術器具を装着。先生はモニターを見ながらこれらの器具を操作して必要な切除作業や臓器の摘出作業などを行います。
この手法を腹腔鏡下手術と呼ぶらしいけれど、これだと開腹手術と比較して傷も痛みも小さいため、入院期間が短縮されるというメリットが。
考えれば考えるほど、すごい技術の進歩‼‼‼
以前の記事主治医からの2回目の電話に記載したとおり、すでに通常の2倍になっている夫の腎臓を移植前に摘出する必要が生じ、移植前の患者には脅威となる輸血のリスクが伴うことがDr.Oから指摘されました。
その後、輸血を避けるための方法はないのかと色々調べていましたが、見つけた結果の一つはまさにこの腹腔鏡下術を使った腎摘出。すでにこの手法で腎臓がんの治療などが行われているようですが、夫の病気である多発性嚢胞腎患者の腎臓もこの手法で摘出可能なのかどうか。可能であれば、この方法で輸血リスクを回避できるのではないか?!という希望の光を探っていました。
今更だけど、インターネットって本当に便利。
まあ出てくる色んな情報。
ざっくりした調査の結果、理解できたことは、腹腔鏡下腎摘出は可能。むしろ推奨される手法であるが、医師の高い技術レベル(経験)が必要とされること。腎臓の大きさ次第では、腎臓を取り出すのに結局お腹を少し切る必要があること。合併症発生率は開腹と比較して低い。輸血のリスクは開腹手術よりもリスクは低下するものの、腎臓のサイズを考えると、夫のケースだと実はリスクはあまり変わらない気がする😕。
彼の腎臓サイズを改めて確認してみようと思う。
もう一つの希望の光、腎臓を摘出せず大きくなった腎臓を小さくする手法も見つけたので、次の記事に記載します。
以下、有用そうな論文を調査記録として以下に記載しておきます。
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2013年5月にフランス泌尿器科学会に掲載された論文
「腹腔鏡下手術による多発性嚢胞腎患者の腎摘出は可能」(筆者による和訳)
原文はこちら
La Néphrectomie Laparoscopique pour Rein Polykystique est Faisable et Reproductible
以下、筆者による要点の和訳。
<レビューの目的>
常染色体優性多発性嚢胞腎(PKRAD)患者の腎摘出手術は開腹手術が長い間主流であり、疾病による腎臓の大きさのため肋骨下または腰部の切開が必要となる。腎臓がんの治療においては腹腔鏡下術の経験が豊富であり、これらの経験に基づいてPKRAD患者に対する腹腔鏡術の使用が報告されている。本研究の目的は、我々が実施したPKRAD患者に対する腹腔鏡下腎摘出術を報告し、その実現可能性を示すことであった。
<対象患者>
常染色体優性多発性嚢胞腎患者37名(女性:18例、男性:21例)
2007年12月~2017年2月までの期間に腹腔鏡下腎摘出術を受けた患者
(内、透析治療中の患者は30例)
<対象患者の腎摘出の目的>
32例:腎移植に向けた移植スペース確保(←夫のケース)
8例:腎臓の痛みのため
4例:嚢胞腎の度重なる感染のため
6例:消化器官の障害のため
29例において右側の腎臓を摘出。
2例のみ後腹膜到達法(腰からのアクセス)、他は径腹膜(お腹から)
<結果>
手術時間平均:167分(90~310分)
出血量平均:200mL(10~1500mL)
輸血を要した患者:6例(15%)
(慢性貧血症患者に対して必要であったケースも含む)
術後入院期間平均:5.2日(3~11日)
術後に使用したモルヒネ平均:15ml(0~56mL)
合併症11例(28%)(内、重症5件:動静脈瘻(どうじょうみゃくろう)血栓症)
摘出した腎の重量平均:1328g(590~2700g)
がん細胞があった腎の数:0例
(切開術に関する引用文献のひとつ)
Bennett(1973)による報告では31例を対象とした切開術による腎摘出において、合併症発生率38%、死亡率3%であった。より最新(2001~2011年)の報告でも、合併症発生率は36および40%だった。
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お天気の良い日曜日、久しぶりにご近所さん夫妻と4人でハイキングした際に、私たちを見てエッチラオッチラ駆け寄ってきた彼ら。シャロレ牛は人懐こくて、いつも頭をなでなでさせてくれる。
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